学習療法
今回の作業療法図鑑は、認知機能課題について紹介します。
皆さん、認知機能課題とは具体的にどのような事を行っているかご存じですか?
どんな効果があるのか、どんな方に効果的なのか、実際に病院で行っている内容をふまえて紹介します。
対象となる方は?
・認知症の方
・物忘れが気になり始めた方
どんなものがあるの?
・計算プリント
・数字盤
・音読
Etc.…
効果について・・・
上記で紹介した3つについては、「学習療法」という方法にも用いられており、実際に認知症高齢者の方に行い、「表情が豊かになり笑顔が増えた」「排泄・更衣・片付け等を自ら行うようになった」「暴言・暴力が見られなくなった」「短期記憶が改善された」等の効果が見られています。
学習療法とはどういう理論なの…?
上記で紹介した方法では、脳の前頭前野という部分が活性化します。
前頭前野とは?
大脳は前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉の4つに分かれており、それぞれに働きが違います。
前頭前野は前頭葉の中にあり、人間の大脳の約30%の割合を占めています。
前頭前野の働きについては、主に感情や行動のコントロールや、意思決定、他者とコミュニケーションをとる、意欲を出すなど、人間の心そのものです。
人間が一番割合が多く、猿でも10%しかありません。
方法
- 計算
難しければ良いと言う訳ではありません。
簡単な計算(5+4=、6-2=、等、スラスラ行えるもの)をしている時と複雑な計算をしている時で、脳画像で血流量を確認してみると、簡単な計算をしている時の方が脳の血流量が増加し、活性化している事が分かりました。 - 音読
黙読ではだめです。
簡単なもので構いません。
声に出して読むことが大切です。
上記で紹介した計算と同じか、それ以上に脳の血流が増加し活性化に繋がります。 - すうじ盤
30、50、100までの数字が書いてある用紙に、同じ数が書いてある駒を置いていく学習です。
高齢の方には主に30、50を使用します。
上記で紹介したような訓練を毎日、1つの項目につき5~10分行います。
計算については、採点した結果をフィードバックし、正答している所は褒めることで、コミュニケーションをとり、本人の意欲を高めます。
開始時には、挨拶、終了時には「お疲れさまでした」等、支援者から明るい声掛けを行うことで、対象者の方との関係性を深める事が出来、対象の方の満足感や学習意欲を高める事にもつながります。
学習療法には、「2人で行う」「実施時間の固定」等もっと詳しく厳密なルールがありますが、当院で出来る範囲でもう少し簡単にして、個別で認知機能課題として行っています。
すうじ盤
画用紙やペットボトルキャップを使用して手作りすることもできます。